妊娠や出産を経験したことがない私が、お腹にいた赤ちゃんを死産という形で出産しなければいけないお母さんの気持ちはわたしの想像してみる悲しみがペラペラに思えるくらいきっともっと深くてもっと心と体にずっしりと響いて、とてもとても簡単に言葉にできない。予定通り生まれてくるなら6月に、おめでとうっていってもらえるはずだったその赤ちゃんとお母さんに贈る供花を依頼されてお引き受けした。他の方から白い花はたくさん届いているだろうから、供花らしくなくてもいいのでお任せしたいと言われて、依頼のときに唯一指定された6月に咲く紫陽花を使って、小さな赤ちゃんのほんの少しだけ残った遺骨と並べられるくらいの小ぶりなアレンジを作った。
花はそっと心に入っていやし寄り添ってくれる。言葉にできない思いや駆けつけたいけれどできない(あるいはするべきでない)ときにも代弁してくれる。ただそこに、小さくても力強くいてくれる存在。
のちに枯れていっても、色褪せていっても、記憶とその人の気持ちを残しておけるような花を作っていきたい。