上映最終日、ほとり座にてニワトリ★スターを観てきた。DV・レイプ・ドラッグなど、観ていて気分が悪くなるシーンもあったが、終わってみるとひとすじの希望と元気がもらえる映画だった。
上映後のかなた狼監督と井浦新さんの舞台挨拶で、「現実で起きている残忍な事件や様々な暴力(体に受けるだけでなく心に傷をおうものなど)があってもニュースではどこか他人事のようで、むしろ映画で観るシーンから悲惨さや恐ろしさを実感する場合もある。観る側の咀嚼の仕方によって何かのきっかけになることが映画の役割である。」と話しておられた。こういった表現が昭和の時代には当たり前のようにあって、それが表現として人々の間で認識され娯楽としてもとらえられていたのが、地上波で上映不可なことはもちろん、いろんな規制がかかって表現の幅が狭まっている現状を製作する角度から話される言葉には蓄積されたフラストレーションが感じられた。「気持ち悪いと感じられるのが自然な感情なんです。これに慣れてもらっては困る。」 激しいシーンを監督は怒鳴りつけながら撮影されたそうだ。中途半端なことを一切せず、しっかりと見せるすごまじい熱量から、どれほど神経をすり減らしてこの作品ができあがったのか、直接聞くことができたのはとても貴重な時間だった。これだけ本気で作られた映画を久しぶりに見たように思う。重ねて観ると、いろんな捉え方ができる作品だった。映画っていい!って心から思えた。