2019/01/21

言葉にならないものを具体化する

先週くらいから風邪をひいて、熱は下がり、咳と鼻水が続いている。咳をするとイガイガしたところを震源に身体中に振動が起きる。背中を後ろから思いっきり叩かれるような感じ。咳がおさまった後は身体にくる疲れ。久しぶりに長引いている。

このような身体に起きる変化、痛みを図式化して表したアーティストが富山にいることを知ったのは昨年行った「HEARTの中のART」というアール・ブリュットの展示だった。この展示は「アート工房NPO cocopelli」や「ばーど◎とやま」という団体でアール・ブリュットのアーティストを支援したり、広めている米田さんが企画しておられた。わたしはここ5年ほどある施設内のギャラリースペースの展示・企画の仕事をしていて、毎年cocopelliに所属しているアーティストに展示をしてもらってきた。色々な作品を見るたびに、大胆な色使いや筆使い、思いもしないような表現方法に心を動かされる。米田さんとの出会いがアール・ブリュットの世界への扉を開いてくれた。

その痛みなどを図式化しているアーティストは作品を発表するために描きつづけている訳ではなく、自分の身体における変化、症状、痛みと向き合い、折り合いをつけるために毎日記録しているというものだった。美術教育を受けていない人が独自の表現方法で作品を作るアール・ブリュットの魅力がここにあるのだと思う。米田さんもこのアーティストとの出会いは本当に衝撃だったと熱を込めて作品を見ながら紹介してくださった。

去年、cocopelli所属の島雄介さんの作品を購入させてもらった。A1サイズほどの紙に隙間なく色鉛筆で塗られている。島さんは旅先の景色や旅行の日程などを事細かに記憶していて、その記憶を元に絵を描いていくアーティストだ。建物が得意(すき?)で自分では建築物や道路を描くことが多いがリクエストがあれば動物や花なども描いている。わたしはたくさんの作品の中から大胆な構図で描かれた羊の表情と色のバランスが絶妙に良かった一枚を選んだ。だがあまりに大きくて飾る壁がないせいでまだ額も探せていない。





 ※写真は全てHEARTの中のARTで展示されていたもの