2019/01/24

気づきかけたもの

風邪を引いたまま東京に行ってきた。絵本に携わる仕事をしてきて6年。ちひろ美術館には前々から行きたいと思っていて、生誕100周年に合わせて色々なアーティストとコラボした展示の最後が写真家の長島有里枝さんだったのでもう今しかないと思った。
ちひろの絵は昔はただ優しく可愛らしいものだと思っていたけれど、絵を描き続ける信念と愛が作品に込められていると感じて見方が変わった。力強く、優しくたくましく、自分を信じて生きた様に勇気をもらう。
長島さんの写真は自分の息子さんが生まれて大きくなっていく過程を展示してあり、アルバムを開いているような気分だった。これはきっと、普遍的な母からみた子を想う目線、愛だなと思った。そして写真を見ていると自分の小さかった頃とリンクして、自分がどんな風に育てられたかなと母を思った。展示室の真ん中に直筆の日記があった。子供を育てる母の心と、作家の心と、女性の心、いろんな心が混ざり合った、嘘のない言葉が綴られていた。人間らしくて、生きることに誠実で必死で、カッコつけているんじゃなくて、芯が通っていて、だからとってもカッコよかった。
勇気付けられて帰ってきたわたしは自分の迷っていたこと、見てきたもの、感じたことなどを抱えてまた考えて、それなのに今は自分自身がわからなくなっている。いろんな意見を聞くうちに、自分が自分を幸せにすることも純粋に思っていたこともなんだかぼやけてしまっている。あの時の勇気と気づきかけたシンプルな感覚は何だったのだろう。答えは簡単に出ない。